カラーダイヤモンドの種類｜色で大きく変わる価値とは

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《目次》

1.カラーダイヤモンドとは？
　カラーダイヤモンドの色と特徴
　ダイヤモンドに色がつく理由とは
　カラーダイヤモンドが高級品とされる理由

2.カラーダイヤモンドの色の種類と価値
　レッドダイヤモンド
　ブルーダイヤモンド
　ピンクダイヤモンド
　パープルダイヤモンド
　グリーンダイヤモンド
　オレンジダイヤモンド
　ホワイトダイヤモンド
　イエローダイヤモンド
　ブラウンダイヤモンド
　ブラックダイヤモンド

3.カラーダイヤモンドのカラーグレード
　色の判別
　7種類のグレード

4.カラーダイヤモンドを人工的に作る方法
　①放射線照射
　②加熱処理

5.天然か人工かはどこで見分けられる？

6.天然カラーダイヤモンドまとめ

カラーダイヤモンドとは、色の付いたダイヤモンドの事です。
一般的に想像されるようなダイヤモンドは、不純物が入らずに炭素だけで構成されているため無色透明になります。
しかし、ダイヤモンドがマグマの中で作られる過程で不純物が混ざると、色のついた「カラーダイヤモンド」と呼ばれるダイヤモンドが生まれます。
天然のカラーダイヤモンドが発見される確率は0.01％以下とも言われており、ダイヤモンドが10,000個採掘されてもカラーダイヤモンドは1個にも満たないレベルです。
一般的にダイヤモンドは透明度が高ければ高いほど価値も上がるとされていますが、カラーダイヤモンドの場合は色が濃くて鮮やかであるものほど希少価値が上がります。
ただし、宝石市場には人の手によって色がつけられた人工のカラーダイヤモンドもあり、宝石の専門知識がないと天然ものと見分けがつきにくいほど精巧です。

カラーダイヤモンドには、想像できるほぼすべての色があります。
色別の希少価値は、高い順からレッド→ブルー→ピンク→パープル・グリーン・オレンジ・ホワイト→イエロー→ブラウン→ブラックとされています。
※無色透明のダイヤモンドは、ホワイトとイエローの間に位置します。

カラーダイヤモンドの中でも特に発色の優れたダイヤは「ファンシーカラーダイヤモンド」と呼ばれ、希少性が高いことから大変価値のある宝石として扱われるのです。
レッドやブルーなど珍しいカラーで発色が強く、さらに大粒のファンシーカラーダイヤモンドであれば、億単位の価格で取引される場合があります。

なぜダイヤモンドに色がつくのか。まず美しい輝きを放ち、世界中の人々を魅了するダイヤモンドは、そもそもどのように生成されるのでしょうか？
今から30億年以上前、地表から160キロ以上離れた2,000度・およそ6万気圧（地表面の気圧が1気圧）の地中で、炭素の原子が強固に結晶化しました。
このダイヤモンドの原石は数億年にわたり地球の奥深くで眠っていましたが、火山活動によってマグマの中に混ざり込み、噴火とともに地表に出てきます。
ダイヤモンドの原石を含むマグマが地上に噴き出る際、垂直に延びる岩石でできた円筒状のパイプ・「キンバーライトパイプ」が生まれました。
キンバーライトパイプはダイヤモンドパイプとも呼ばれ、このパイプが雨や風によって浸食されることでダイヤモンドの原石は川に流れ出ます。
やがてダイヤモンドの原石は川底や海岸に堆積し、沖積層という地層から人の手によって発掘・採取されるのです。
カラーダイヤモンドは生成されている段階で不純物が混じり炭素原子に影響を与えたり、炭素原子の増減によって色がつきます。ファンシーカラーダイヤモンドが見つかる確率は1万分の1ともいわれ、透明のダイヤモンドより発掘の確率が極めて低いため、強い発色があるカラーダイヤの希少価値は高くなります。

最高品質や希少性の高いカラーダイヤモンドであれば、1カラット（0.2グラム）で100万円以上の値がつくことが多くあります。
どうしてカラーダイヤモンドは、こんなにも高級品として扱われるのでしょうか？
カラーダイヤモンドが高額となる理由は、主に以下の3つです。

1.簡単に見つからない
2.採掘に莫大な費用が必要になる
3.宝石として流通できるダイヤモンドは非常に数が少ない
4.加工にもコストがかかる

カラーダイヤモンドは世界中で採掘されるわけではなく、良く知られる採掘地はオーストラリア、インド、南アフリカの一部の鉱山です。
そもそもダイヤモンドを採掘するにあたり、採掘地までの移動や採掘自体にコストがかかることは言うまでもないですが、掘り起こした膨大な岩石や砂利の中から「宝石として価値があるかもしれないダイヤモンドの原石」を探し出す作業にも、莫大な費用を投じなければなりません。しかも、原石を採掘したとしても、宝石に加工できるだけの品質や大きさを持つダイヤモンドは全体の約1割と大変少ないです。
また、ダイヤモンドの原石を宝飾用に加工するコストもかかります。
ダイヤモンドは高温・高圧の環境で生み出されるため非常に硬く、研磨用のダイヤモンドを使って美しく加工する高い技術力が必要です。
ダイヤモンドの価格は、カットや研磨の出来栄えによっても変動するため、加工で原石の価値を台無しにするわけにはいきません。
透明のダイヤモンドでも宝石として価値を見出せる原石の総数が少ないうえに、採掘や加工にとても高い費用がかかるため、その中でさらに希少性のあるカラーダイヤモンドは高級品とされるのです。

カラーダイヤモンドを色ごとに分けたうえで、価値の高い順に概要をご紹介します。

色鮮やかで華やかなレッドダイヤモンドは、カラーダイヤモンドの中で最も希少価値が高いカラーです。
オーストラリアのアーガイル鉱山や、ブラジルのアバエテ河で発見されたと言われています。
バラのような真っ赤なダイヤモンドというのは天然では存在せず、ピンクダイヤモンドが変化してピンク色が濃く現れたものがレッドダイヤモンドと呼ばれています。
幻のダイヤモンドと言われ、商人や鑑定士など宝石業界歴が長い人でも滅多に見ることができない逸品です。
レッドダイヤモンドは世界に約30個しか存在しないと言われていて、あまりにも価値が高いため、装飾品というよりは投機として扱われることが多いです。

レッドダイヤモンドの希少性と価値｜幻の宝石とも呼ばれる魅力とは

ブルーダイヤモンドは、ダイヤモンドの結晶にわずかにホウ素が混ざることで生まれます。
レッドに次いで希少なカラーダイヤモンドと言われており、主に南アフリカのカリナン鉱山で発掘されます。
透明感がありながら青みがしっかり出ているものほど希少価値が高く、同じブルーでも「ファンシーグレーブルー」や「ファンシーライトブルー」など薄い色味のブルーも存在します。
天然もののブルーダイヤモンドはほとんど市場に出回ることはなく、販売されているものの多くは人工ものです。

ブルーダイヤモンドとは？意味や石言葉、呪いの逸話が語られるほどの希少価値

ピンクダイヤモンドは、カラーダイヤモンドの中でも特に女性からの人気が高いです。1979年、オーストラリアのアーガイル鉱山で発見されてからは世界中で取引されるピンクダイヤモンドの90％以上が同鉱山で採掘されています。
アーガイル鉱山は2020年11月に閉山して採掘ができなくなってしまったため、今後ピンクダイヤモンドの価値はより上がるでしょう。
鮮やかなピンクは非常に希少ですが、レッドやブルーに比べると供給量が多いので宝石市場で見かけられます。
天然ものも人工ものも市場にたくさん出回っているので、天然物を購入したいのであれば正式な鑑定書がついているものが望ましいです。
色が濃くて赤っぽいピンクカラーが希少で、色が薄めの「ライトピンク」や少しブラウンがかった「ファンシーブラウンピンク」などの色もあり、価格差の変動も激しくなっています。

ピンクダイヤモンドの希少性と奇跡的な美しさに込められた意味とは

パープルダイヤモンドも希少性の高いカラーダイヤモンドですが、アメジストのようにハッキリとした色のものは非常に少ないです。
色が薄いものはピンクダイヤモンドと判定されてしまう場合が多く、さらにパープルダイヤモンドの珍しさに拍車をかけています。
年間でパープルダイヤモンドと判断されるものはわずかしかない為、宝石コレクターに人気の高いカラーダイヤモンドです。
薄くピンクみがかった「ファンシーライトピンキッシュパープル」や、色の濃い「ファンシーディープピンクパープル」など様々な色味を持っています。

天然のグリーンダイヤモンドの産地は、コートジボワールとベネズエラのみと大変珍しいです。
グリーンダイヤモンドは、ダイヤモンドが形成される過程で窒素を取り込み、天然の放射線の影響で緑色に輝きます。
世界的に権威を持つ鑑別機関であるGIA（米国宝石学会）は、「高度な宝石学テストを用いても、グリーンダイヤモンドの天然・人工の判定を常に正しくできるわけではない」というコメントしています。
トップレベルの機関でも天然・人工の判別ができないほど繊細な色味を持つグリーンダイヤモンドは、それだけ希少価値が高いと言えるでしょう。

全体的な価値はレッドやブルーに比べると低めですが、ものによってはブルーやピンクと並ぶくらいの一級品もあります。
ブルー味がかった「ファンシーブルーグリーン」や、イエロー味がかった「イエローグリーン」といった色味も存在します。
基本的にはグリーンが濃ければ濃いほど価値は上がるものの、性質上、大きくなると色が薄く見えます。

オレンジダイヤモンドは、主にオーストラリアのアーガイル鉱山と南アフリカで産出されます。
オレンジダイヤモンドには、ブラウン味がかった「ブラウンオレンジ」や、イエローに近い「イエローオレンジ」といった様々な色があります。
オレンジ味が鮮やかな「ビビットオレンジ」は希少性が高すぎて宝石市場に流通することはほとんどなく、オークションや業者間で流通することが多いです。
イエローやブラウンなど他の色が混ざると価値が下がり、ビビットオレンジはイエローオレンジと比べると10〜15倍もの価値があるとされています。

ホワイトダイヤモンドは真っ白ではなく、乳白色で半透明な色を持つカラーダイヤモンドです。
白みがかったダイヤモンドは比較的多く出回っていますが、ホワイトダイヤモンドとして高く評価されるほど明確な乳白色のダイヤモンドは極わずかしかありません。
ホワイトダイヤモンドがなぜ生まれるのか、科学的なメカニズムは未解明の部分が多く、とても神秘的であるため高い人気を誇ります。

カラーダイヤモンドの中でも汎用性の高い色味のため、鶏卵より少し重い118カラットのホワイトダイヤモンドが、2013年に開催された香港のオークション大会では史上最高額を誇る30億円で落札されました。
ちなみに、無色透明（カラーレス）のダイヤモンドを「ホワイトダイヤモンド」と呼ぶ業者もいるため混同されやすいですが、別の種類ですので購入する際は注意しましょう。

イエローダイヤモンドはカラーダイヤモンドの中でも最も知名度が高く、宝石市場でよく見かけられます。
無色透明のダイヤモンドのグレードが低いものに混ざっていることが多々あり、カラーダイヤモンドの中でも圧倒的に産出量が多いため価値は低いです。
もちろん品質やカラットなどによりますが、無色透明のダイヤモンドに比べると1.5倍ほどの価値ですので、カラーダイヤモンドの中では比較的手が届きやすいでしょう。
しかし、ファンシーカラーダイヤモンドと判定される「カナリーイエロー」という色の鮮やかなイエローダイヤモンドは一気に価値が高くなります。
カナリーイエローはイエローというより、ゴールドのような美しい色合いが特徴です。

イエローダイヤモンドの魅力！高騰する価値と特徴・効果を解説

ブラウンダイヤモンドはイエロー同様、基本的に無色透明のダイヤモンドの中でグレードの低いものとして扱われることが多いです。
一般的には「黄ばんだダイヤモンド」「イエローダイヤモンドの下位互換」と捉えられており、あまり良いカラーとして見られることはありません。
他のカラーダイヤモンドと比べると、圧倒的に流通量が多いことから市場価値は低いです。
ただし、汎用性が高くて安価であるため、若者を中心にファッションシーンでは支持されています。
資産として取引されるほどの高い価値はつきにくいですが、装飾品として十分な人気です。

ブラウンダイヤモンドの価値は？人気が高まってきた理由や魅力をご紹介

ブラックダイヤモンドは鉄鉱石やグラファイトなどの不純物が原石全体に広がったり、炭素が異常に多く含まれたりすることで生成されます。
ジンバブエのマランジェ鉱床が原産地として有名で、南アフリカやコンゴ共和国、オーストラリアなどでも産出されます。
ほとんど透明感がなく真っ黒な見た目が特徴で、近年まで工業用のダイヤモンドとして使用されていたため市場価値は低いです。
しかし、「神秘的でクール」「かっこいい印象になる」という理由から、最近では宝飾品として注目を集めています。
女性だけでなく男性にも人気があり、メンズジュエリーとして高い注目を集めています。
カラーダイヤモンドの中では最もリーズナブルな価格で販売されているので、カラーダイヤモンド初心者の方はブラックダイヤモンドから挑戦してみてはいかがでしょうか？

ブラックダイヤモンドの価値とは？宝石としての意味と効果、本物と偽物の違い

カラーダイヤモンドは、色相・明度・彩度の3つの観点から色が判別されます。
色相はレッド・ブルーなどの単色と、「イエロイッシュグリーン」「オレンジッシュイエロー」など2色が混ざったような複色の2タイプがあり、33色の色相用語に照らし合わせて色味が見分けられます。
同じピンクとブラウンを組み合わせた色味でも、「ブラウニッシュピンク」であればブラウン味がかったピンク、「ブラウンピンク」であればベースはピンクだがブラウン強めというように微妙に意味合いが異なることがポイントです。

明度は色の明暗を、彩度は色の濃淡を表し、一般的なカラーダイヤモンドであれば色が強く出て鮮やかなものが価値が高くなります。
明度・彩度は一番薄い「フェイント」から始まり、一番濃い「ダーク」までグラデーションで段階があり、どの段階に位置するかで宝石としての価値が決まります。
例えばパープルダイヤモンドで「フェイントパープル」であれば極薄いパープル、「ファンシービビットパープル」であれば色鮮やかで濃さ明るさも充分という意味です。
色の明度・彩度は7つのグレードに分けられており、色が濃い（価値の高い）ものから順に並べると以下の通りです。

1.ファンシービビット
2.ファンシーインテンス
3.ファンシー
4.ファンシーライト
5.ライト
6.ベリーライト
7.フェイント

専門知識がなくても、グレードを理解していればそのカラーダイヤモンドはどのくらいの濃淡を有しているのかが分かるでしょう。

カラーダイヤモンドの中には人工ものも存在することは前述しましたが、一体どのように生成しているのでしょうか？
カラーダイヤモンドは、無色透明のダイヤモンドに放射線を照射したり、加熱処理を施したりして着色をすることで生まれます。
それぞれの加工方法について、詳しく説明します。

ダイヤモンドに放射線を当てて、意図的に被ばくさせることで色を変えてカラーダイヤモンドに仕上げます。
1904年頃に考案された工法で、100年以上の歴史を持つ伝統的なカラーダイヤモンドの生成方法です。
放射線で熱する温度により色を自由自在に変えることができ、たとえばピンク・レッド・ブルー・グリーンといった基本色をほとんどすべて出現させられます。
放射線照射には主に4つの工法があり、複数組み合わせたり、使い分けたりすることで思い通りの色を生み出しているのです。
放射線によって着色されたダイヤモンドは、原子の構造が変化しているため半永久的にカラーが保たれると言われています。
言わずもがな、放射線照射されたカラーダイヤモンドを身に着けても、人体に影響はありません。

加熱処理は、ダイヤモンドに放射線照射を施してから加熱することで、色のバリエーションを増やす工法です。
高温高圧の環境下にダイヤモンドを置き、地中でダイヤモンドが作られる過程を再現しています。
たとえばイエローからピンクに、グリーンからオレンジに色を変えることが可能です。

カラーダイヤモンドが天然ものか人工ものかは、カラーの鮮やかさと透明度に差があるので、プロが見ればすぐに区別できます。
しかし、審美眼を持たない人にとっては違いが分かりづらいため、鑑定書を見て判断します。
鑑定書の「色起源（color origin）」の欄には、人工的に着色したなら「人為的照射」、天然ものであれば「天然」と記されています。

ただし、ダイヤモンドの鑑定書の中には公的な機関が発行していないものも紛れているため、鑑定書が信頼できる機関のものかどうかを見極めなければなりません。
世界的に有名で信頼度の高い鑑定書の発行機関は、前記のGIA・EGL（アメリカ）・HRD（ベルギー）で、日本ならHRDと提携している中央宝石研究所（CGL）です。
宝石を購入する際は、これらの研究機関が発行している鑑定書が付属しているものがおすすめです。

カラーダイヤモンドは、数十億年という長い年月をかけて自然が生み出した奇跡の宝石です。
繊細で神秘的な色合いを持っており、市場価値は違えど、どの色もとても美しいことが特徴です。
無色透明のダイヤモンドよりも価値が高い色も存在し、一目見ただけで魅了されてしまいます。
ですが、宝石市場には人工的に作られた安価なカラーダイヤモンドがたくさん出回っているので注意しましょう。
天然のカラーダイヤモンドを手に入れたい場合は、GIA・HRD・CGLなどの公的機関が発行した鑑定書がついているかを必ず確認してください。

ここまでお付き合いいただきありがとうございます！

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